野球肩 「インピンジメント症候群」




インピンジメントとは日本語に訳すと「挟み込み」という意味です。



つまり、肩関節で何かが挟み込まれたような状態になり痛みが生じる障害です。



大きく関わってくるのは上腕骨頭と肩回旋腱板(ローテーターカフ)で、



ボールを投げる・ラケットで打つ・スパイクを打つなど、



肩を90度以上横に上げた(外転)状態から腕を後方から前方にひねる(外旋から内旋)動作



を繰り返すことで、上腕骨頭が前方に押し出され、



烏口肩峰靭帯・肩峰・烏口突起で形成される鳥口肩峰ア-チなどとぶつかり合います。



その結果、肩峰下滑液包や上腕二頭筋腱の炎症や棘上筋の損傷などの



肩回旋腱板の炎症・損傷・断裂を生み、痛みが生じます。



重篤な場合、回旋腱板にまで障害が及ぶと夜間痛が生じる場合もあります。



もう少し動作に注目し、野球ややり投げなど投擲種目の投球時を考えてみましょう。




投球動作は主に5期に分けられます。


1.ワインドアップ期

2.コッキング期

3.加速期

4.減速期

5.フォロースルー期


野球肩 「インピンジメント症候群」








上記で述べた"肩関節90度外転+外旋から内旋"の状態になるのは加速期です。



これをバレーボールに置き換えても言える事です。



上記の減速期に相当するのがインパクト期、つまりアタックする瞬間を指します。



インパクトに持っていく前、やはり加速期が一番過負荷がかかる状態になります。



その他ラケットを使用するスポーツ(テニス・バドミントンなど)で、頭上でラケットを降る動作



(オーバーヘッドアクション)が特にインピンジメント症候群を起こしやすいポジションとなります。



【原因】



・ 投げ込み・打ち込み

・ 運動量の急激な増加

・ 慢性的な筋疲労によるオーバーユース

・投球フォーム・スイングの乱れ・癖

・ コンディション不良



基本的にはその運動で負荷をかけ過ぎてしまう事でインピンジメント症候群が生じます。



投球時に癖があったり、軸がブレてしまうなどの問題は要注意です。




好発年齢は比較的若年層に多く、高校生から大学生くらいの選手にみられる障害です。



技術的にまだ未熟な選手は要注意です。



また、キャリアが長く競技レベルの高いベテラン選手にも多くみられます。





【インピンジメントを起こしやすいスポーツ】


野球

陸上(投擲種目)

バレーボール

テニス

バドミントン

水泳

ゴルフ

ウエイトリフティング

車椅子スポーツ



など、オーバーヘッドアクションが多いスポーツや反復的に肩に負荷がかかるスポーツに多い障害です。



【セルフケア】

運動前後のウォーミングアップ・クールダウン(ストレッチなど)をしっかり行い、



痛みが強い場合や熱感がある場合はアイシングを行って下さい。



運動前に筋肉への血流促進・筋緊張緩和の為に温めるのも効果的です。



痛みで動作が取れない場合は、



チューブトレーニングを用いて関節の可動域や筋肉の安定化を目指し、



比較的負荷の少ない下投げ⇒立て膝投げ⇒シャドーピッチングと徐々に



負荷を上げて通常の動作に戻していきましょう。



野球肩 「インピンジメント症候群」







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